
東日本大震災応援プロジェクト
多大な被害をもたらした東日本大震災後に東北を訪れて親子写真や報道写真を撮影するプロジェクトを実施。 オーガナイザーとして活動をサポートしました。記録した写真の展示会、動画の配信、冊子の製作など、クリエイティブなネットを駆使して復興の応援をいたしました。活動は今も継続しています。

あなたに、ありがとう。 東日本大震災が発生した日の夜、テレビから流れる衝撃的な映像と原子力発電所の恐ろし情報に神経をとがらせて、不安な一夜を過ごした。しかし、被害が明らかになっても、自分が何をすべきか、情けないことに、すぐには考えつかなかった。 震災発生から3ヶ月たったある日、避難所の親子が被災地を取材していた新聞記者に「写真を撮って欲しい」と頼まれたというニュースを見た。その親子の言葉に背中を押されるように、6月13日、私は被災地に赴いた。 30年前に「親子」というテーマに出会い、4000組を超える親子の情景を写真におさめてきた私にできるのは、“被災地の親子の今”を撮影してプレゼントをすることだと確信して・・・被災地を訪れ、言葉ではとても語り尽くせない壊滅的な風景を目の前にした時、災害が運んで来た深い悲しみに負けないで欲しいという願いがさらに強くなり、シャッターを押した。 親子の絆、人を思いやる優しさ、まっすぐ立つ強さ。 出会ったどの親子も、過酷な記憶や厳しい現状を心に包みこんでカメラの前に立ち、津波も押し流せなかった大切なメッセージを私に伝えてくれた。 昨年12月、 彼らの今を写真に収めたいと、東北を最訪した。震災前と同じ職で生活できるようになった人がいる一方、がれき撤去や除染の仕事で生計を立てている人も数多く、再建への課題の多さを改めて実感した。 それでも、今をしっかり生きぬけばきっと未来に光がさすはずだと、私に再確認させてくれた。 被災地で出会ったみなさん、ありがとう。 ブルース・オズボーン ※2013年ナショナルジオグラフィックの3月号に掲載